東京都中央区有楽町・中華料理店の立退きが認められなかったケース

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東京都中央区、東京駅・有楽町から徒歩圏内の立地にある5階建の建物。その2部屋を月額50万円で借りて中華料理店を経営してきた借主。しかし、建物を建替えるとして立退きを求められました!裁判所が借主の立退きを認めなかったポイントとは?

 裁判所が考慮した事実(東京地判平成24年4月17日) 

①本件建物の近隣では再開発が急がれていた…

本件建物近隣では、老朽建物の機能更新や土地の集約化等により、歴史と文化を生かした潤いと風格ある街並みを形成しつつ、国際的な商業・観光拠点を形成するための再開発が急がれていました。
貸主は、本件建物を含めた近隣地区一帯の再開発を計画しており、都市計画決定も受けている状況でした。
このことは、貸主が本件建物を建て替えるため、借主を立ち退かせる利益があることを強める事情となります。

②老朽化が激しかった…

本件建物は、築50年を超える建物で、経年劣化が目立つ状態にありました。そのため、近隣地域の建物と比較して、その老朽化、旧式化等による機能的陳腐化、市場性の減退等による経済的不適応が認められる状態でした。
このことと、再開発の要請とを考慮し、裁判所は、立退きはやむなしとの判断をしました。

③本件建物の立地が非常に良く、借主の売り上げは高額だった!

本件建物は、東京の中心地の駅から徒歩1分の非常に良い立地にありました。このようなことも含め、借地権価格が約3500万円とされています。
また、借主は年5000万円を超える売上を計上してきました。このようなことから、休業補償が約750万円とされました。

弁護士が解説する立退料算定のポイント

本件で特徴的なのは、建物の老朽化による耐震強度等が検討されずに、建替えの必要性が高いものと判断されている点にあります。
その理由として大きいのは、近隣地域一帯が再開発により風格のある街並みを築く行政的な方針が立てられていた点が挙げられます。このような再開発に遅れれば遅れるほど、機能上はまだまだ使用できる建物でも、周りの建物との機能面や街並みとの調和という点から事実上価値が激減し、この点を裁判所は考慮しています。
このことは、経済的合理性という理由から立替が認められる場合もあることを示しています。

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