賃貸物件から出ていくことになった!立退料を請求する3つのポイントとは?

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貸主側からの要求で賃貸物件から退去することになる場合、借主は、立退料を請求することができることがあります。立退料は、一定の条件を満たせば、請求することができます。

賃貸物件から退去する3つのパターンについて

貸主側からの要求で賃貸物件から退去する場合には、以下の3つのパターンがあります。

  1. 借主の契約違反により賃貸借契約が解除される場合
  2. 契約当事者の合意により賃貸借契約が終了する場合
  3. 契約の更新が拒絶される場合又は解約申入れがされた場合

3. の場合、更新を拒絶し又は解約申入れをする「正当の事由」が必要とされています(借地借家法28条)。「正当の事由」の有無を判断するにあたり、双方の利害を調整するのが立退料です。

なお、1. の場合、借主のせいで契約関係が終了するため、立退料は請求できません。2.の場合は、いかなる内容で合意するかは当事者の自由なので、立退料のような金銭の交付を条件とすることも可能です。

「正当の事由」で考慮される事情について

「正当の事由」では、厳密に分けられるわけではありませんが、大きく①貸主の利益と②借主の利益の2つが考慮されます。

① 貸主の利益

  • 建物売却・土地利用等の借主の利益
  • 売却・土地利用等の具体性
  • 老朽化に伴う立替等の必要性、など

② 借主の利益

  • 居住・事業の必要性
  • 代替物件の確保可能性
  • 投下資本の回収
  • 従前の契約関係・契約違反の有無、など

これらのような事情を総合的に見たときに、貸主側の事情の方が重たければ、「正当の事由」が認められます。立退料は、貸主側の事情の方が多少軽い場合に、貸主側の事情を少し重くする事情として作用します。ただ、上記事情がどの事案でも必ず考慮されるわけではなく、逆に、ここに上がっていない事情が重視されることもあります。

立退料の額について

立退料の額は、裁判によって争う場合、裁判所の裁量によって決められます。ただ、裁量といっても、裁判所が適当に算定するわけではなく、複数ある算定方法をもとにその算定方法を事案に応じて修正する場合や、貸主側が既に提示している立退料の額が妥当か否かにより判断する場合などが多いといえます。

その際には、貸主がいくら払えば天秤が貸主側に傾くのか、という判断がされているように思われます。ただ、それぞれの事情の重みやその重みに応じた額を算定することは、個々の事案に応じた判断が不可欠であるため、非常に難しい作業になってきます。そのため、立退料をもらえないか?と思った際には、一度、弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。

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